東洋医学って何?「夏の養生 概論」【都立大身体均整院】

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9.<火>夏の養生概論

5月6日の立夏から8月8日の立秋までの3か月の季節を蕃秀(ばんしゅう)と言い、陽気が一番強くなる時期です。蕃とは、茂って盛んであるという意味です。また、秀とは、華やかであり、美しいという意味があります。自然界のものが、生い茂り、花を咲かせて実をつける季節です。

五臓の働き

中医学の「五行学説」では、春は「」に属し、五臓では「」に対応します。さらに五味は「苦味」に対応します。

五行五季五主五臓五腑五官五味
小腸

五臓のうち「心」の働きは、全身に血(けつ)を送りだすポンプのような役割があります。「心」が正常に働くことで、血がからだのすみずみまで行きわたり、栄養分を届けることができます。また、「心」は精神や意識、思考をコントロールする役割があります。人間が、様々なことを考え、判断をしたり、記憶をしたり、行動に移すことができるのは、「心」の機能によると考えられています。 「心」と特に強く結びついているのは、汗、顔、舌です。「心」の状態によって、汗の出方、顔色、舌の表面の状態や色が変わってきます。

五臓の働き

1.精神不安

木「心」は精神、意識をつかさどる神志が存在します。「心」の変調によって、神志を低下させるため、落ち着かなくなり、不安感などの症状がみられるようになります。さらに、不眠や、寝つきが悪くなる睡眠障害も生じてきます。

2.物忘れ

神志を補養できないと、判断や記憶力が低下するために、物忘れが多くなります。

3.動悸

血を循環させる「心」の機能に変調が起こると、身体のあちこちに血行障害がおこり、顔色や唇の色が悪くなります。「心」は血行障害を改善するために、拍動を増やすように働きかける結果、動悸や不整脈、胸痛が生じます。また、貧血や手足の冷え、息切れなどの変調も生じます。さらに、発汗したり、舌がもつれて言葉が出ないといった発語障害も生じてきます。

4.排泄不調

小腸の消化機能が低下し、便秘や下痢症状が現れます。

夏の特徴

夏は、自然界に限らず、人間も陽気を外に出すように働きます。つまり、体内の老廃物、毒素を汗とともに外に排泄、放散します。

日本の夏は、湿度が高いため蒸し暑く、過ごしにくいのが特徴です。暑い中でも、適度な運動をして汗をかき、体内の老廃物や毒素を汗と一緒に外へ出すことが大切です。

現代では、室内では、エアコンによって体を冷やしすぎたり、冷たいものを取りすぎて、汗をかくことが減ってきています。その結果、体内に陽の気がこもり、陽気の多い心や肺をいためてしまいます。

夏は、心臓の弱い人や高血圧症、糖尿病の人にとっては、特に調子を崩しやすい季節です。また、秋になると痰が少ない空咳が多くなるのは、夏に体を冷やしすぎたことが原因の場合が多いです。

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